#026 施設ごとの在宅訪問の保険算定の可否

LINEで送る
Pocket

100日連続ブログ更新チャレンジ - 26日目 #Challenge100

 

本日は、薬局による高齢者施設への在宅訪問において、訪問薬剤管理指導(医療保険・介護保険)を保険算定できる場合とできない場合についてご紹介いたします。

医師または薬剤師の配置義務がポイント

在宅患者の基本的な定義は、その施設に「医師または薬剤師の配置義務」があるかどうかがポイントになります。

配置義務がなければ訪問薬剤管理指導の保険算定ができますが、配置義務があれば算定できません。

医師または薬剤師の配置義務がない施設

在宅患者として算定できる

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険の場合)
  • 居宅療養管理指導費(介護保険の場合)
原則として、介護認定(要介護・要支援)を受けている患者さんは介護保険が優先され、それ以外の患者さんは医療保険が優先されます。
ポイント
医師または薬剤師の配置義務がある施設は、在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費は算定できません。

在宅患者訪問薬剤管理指導料

(3)在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関又は介護老人保健施設で療養を行っている患者以外の患者をいう。ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成 20 年厚生労働省告示第 128 号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成 18 年3月 31 日保医発第 0331002 号)等に規定する場合を除き、患者が医師若しくは薬剤師の配置が義務付けられている病院、診療所、施設等に入院若しくは入所している場合又は現に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。

出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)別添3(調剤点数表)┃ 厚生労働省

訪問薬剤管理指導の保険算定ができる施設(配置義務なし)

在宅訪問で訪問薬剤管理指導の保険算定ができる施設

  • 軽費老人ホーム B型
  • 有料老人ホーム
  • 高齢者専用賃貸住宅
  • 認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
特別養護老人ホーム…末期の悪性腫瘍患者の場合、医療保険で在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定可

訪問薬剤管理指導の保険算定ができない施設(配置義務あり)

在宅訪問で訪問薬剤管理指導の保険算定ができない施設

  • 特別養護老人ホーム(末期の悪性腫瘍患者を除く
  • 老人保健施設
  • 養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム A型
特別養護老人ホーム…末期の悪性腫瘍患者の場合、医療保険で在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定可

各施設ごとの保険算定可否の一覧

配置義務 医療保険 介護保険
医 師 薬剤師 在宅患者訪問薬剤管理指導料 居宅療養管理指導費
①介護老人保健施設
②特別養護老人ホーム △ (※1)
③養護老人ホーム
④軽費老人ホーム A型
B型
⑤有料老人ホーム
⑥高齢者専用賃貸住宅
⑦認知症高齢者グループホーム ✕ (※2)

出典:在宅医療における薬剤師業務について(中医協 総-4-4 2011.2.16)│ 厚生労働省

ポイント
  • ※1 特別養護老人ホーム…末期の悪性腫瘍患者の場合、医療保険で在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定可
  • ※2 グループホームは介護認定を受けている方のみが入居対象のため介護保険適用
  • ※3 ④⑤⑥⑦いずれの施設も、介護認定を受けている患者は介護保険の「居宅療養管理指導費」、それ以外の患者は、医療保険の「在宅患者訪問薬剤管理指導料」が適用となる
  • ※3 ④⑤⑥⑦いずれの施設も、居宅療養管理指導費とともに、医療保険の「在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料(及び麻薬管理指導加算)」、「在宅患者緊急時等共同指導料(及び麻薬管理指導加算)」は算定可能

いかがだったでしょうか。

在宅訪問は、超高齢社会の進行に伴い、今後ますます需要は伸びていく薬局業務の一つなので、積極的にとっていきたいですね。

それでは、また!

●100日連続更新達成まで、あと74日! #Challenge100

 

※当サイトに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
※当サイトの情報に起因するいかなる損害についても、当社及び情報提供元は一切責任を負いません。利用者ご自身の判断と責任においてご利用ください。

この記事を書いた人

Hiroshi.K
Hiroshi.K
メディカルサーブ株式会社 代表取締役

システムコンサルタント、インストラクター、エンジニア、デザイナー、講師など、いくつもの肩書を兼任。いわゆるプレイングマネジャー。
趣味はマラソン。マラソン歴10年目にしてサブスリーを達成。フルマラソン自己ベストは2:57:40(第8回水戸黄門漫遊マラソン:2023/10/29)
LINEで送る
Pocket

調剤薬局ソリューションシステム「エリシアS」

エリシアS
選ばれる薬局に、
選ばれるシステムへ。

新しくなったエリシアは多様化する調剤業務と薬局の在り方を見据え、末長く選ばれるシステムとなるよう進化しました!
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

#026 施設ごとの在宅訪問の保険算定の可否”へ2件のコメント

  1. あこ より:

    居宅療養管理指導料を算定している施設の入所者さんに、吸入薬の指導の加算は取ることはできますか?
    そのあたりのことを詳しくまとめられたものはないでしょうか?

    1. Hiroshi.K より:

      あこ様

      コメントありがとうございます!

      ご質問の件ですが、居宅療養管理指導費(医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料と同じ扱い)を算定している場合、薬剤服用歴管理指導料とその加算は併算定できません。(吸入薬指導加算は薬剤服用歴管理指導料の加算です)

      詳しくはこちらの記事をご覧ください。
      薬学管理料の同時算定について

      ただ、例外措置として「薬学的管理指導計画に係る別の疾病または負傷に係る臨時の処方を行った場合は除く」とありますので、臨時の場合は併算定可と受け取れますが、そもそも吸入薬指導加算は喘息または慢性閉塞性肺疾患の患者が前提なので、この疾患が計画書に含まれていないケースは少ないように思います。

      詳しい状況が分かり兼ねるためこれ以上のご回答は難しいですが、ご不明な場合は地域の厚生局や支払基金、薬剤師会などにお問い合わせいただけるとよろしいかと思います。

      どうぞご参考までに。

コメントはこちら