#006 地域支援体制加算の要件 ー 2020改定版 –

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地域支援体制加算の要件
100日連続ブログ更新チャレンジ - 6日目 #Challenge100

本日は、今年(2020年4月)の調剤報酬改定で変更になった「地域支援体制加算」の要件についてまとめてみました。

実績要件のKPIが前回改定より大きく変更になっております。特に基本料1の薬局様はお気をつけください。

地域支援体制加算の実績要件

調剤基本料1を算定する薬局

以下の基準のうち1〜3を満たした上で、4または5を満たすこと

項目要 件条件
1麻薬小売店業の免許を受けていること必須
2在宅患者薬剤管理(医療・介護)の算定回数 年12回以上(薬局あたり) ※1
3かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の届出を行っていること
4服薬情報等提供料の算定回数 年12回以上(薬局あたり) ※2いずれか
5認定薬剤師が地域の他職種と連携する会議に出席 年1回以上(薬局あたり)

    色付きセルは2020年改定で変更・追加されたもの

※1 在宅協力薬局として実施した場合(同一グループ内は除く)や同等の業務を行った場合を含む。

※2 服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務を行った場合を含めることができる。

服薬情報等提供料が併算定不可となっている場合は?

同一月において、以下を算定している患者については、服薬情報等提供料を算定することはできません。

  • かかりつけ薬剤師指導料
  • かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 居宅療養管理指導費(介護予防居宅療養管理指導費)

しかし、服薬情報等提供料の算定要件に相当する業務を行った場合は、地域支援体制加算の要件である「服薬情報等提供料の算定回数」として、含めることができます。

同一月内における服薬情報等提供料及び在宅患者訪問薬剤管理指導料と他の薬学管理料の算定の可否 ┃ 厚生労働省 

特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて ┃ 厚生労働省 

100日連続ブログ更新チャレンジ - 5日目 #Challenge100 本日は薬学管理料を同時に算定する場合のルールについてご紹介いたします。 題して「薬剤服用歴管理指導
経過措置

調剤基本料1を算定する保険薬局に適用される実績要件は令和3年(2021年)4月1日より適用。令和3年(2021年)3月31日までの間は現在の規定を適用する。

特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて ┃ 厚生労働省 

調剤基本料1以外を算定する薬局

以下の基準のうち8項目以上の要件を満たすこと。

 1〜8:常勤薬剤師1人あたりの年間回数

 9:薬局あたりの年間回数

項目要 件条件
1時間外等加算、夜間休日等加算の算定回数 年400回以上

9項目のうち8項目を満たすこと

2麻薬調剤時の加算点数の算定回数 年10回以上
3重複投薬・相互作用等防止加算の算定回数 年40回以上
4かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の算定回数 年40回以上
5外来服薬支援料の算定回数 年12回以上
6服用薬剤調整支援料1および2の算定回数 年1回以上
7単一建物患者が1人の在宅患者薬剤管理の算定回数 年12回以上 ※1
8服薬情報等提供料の算定回数 年60回以上 ※2
9認定薬剤師が地域の他職種と連携する会議に出席 年5回以上(薬局あたり)

    色付きセルは2020年改定で変更・追加されたもの

※1 在宅協力薬局として実施した場合(同一グループ内は除く)や同等の業務を行った場合を含む。

※2 服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務を行った場合を含めることができる。

常勤換算の取り扱い

常勤薬剤師数は、届出前3月間の勤務状況に基づき、以下により算出する。

  • 当該保険薬局における実労働時間が週32時間以上である保険薬剤師は1名とする
  • 当該保険薬局における実労働時間が週32時間に満たない保険薬剤師は、以下により算出する

 

※小数点第二位を四捨五入して小数点第一位まで求める

地域支援体制加算の施設基準に係る届出書添付書類 ┃ 厚生労働省 

全薬局の共通要件

調剤基本料1の薬局も、調剤基本料1以外の薬局も、以下のすべての要件を満たすことが必須となります。

項目要 件
1保険調剤に係る医薬品として1200品目以上の医薬品の備蓄
2当該薬局のみで(または近隣の薬局と連携して)24時間調剤および在宅業務に対応できる体制
3初回処方箋受付時に患者またはその家族に連絡先等情報を説明・文書にて交付・薬局の外側に掲示
424時間調剤・在宅業務に対応できる体制の周知
5患者ごとの薬歴の記録、薬学的管理、必要事項の記入、必要な指導
6平日は1日8時間以上の開局、土日いずれかに一定時間以上の開局、週45時間以上の開局
  • 祝日および1月2〜3日、12月29〜31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断する
7管理薬剤師は以下の要件をすべて満たす
  • 保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験
  • 週32時間以上勤務
  • 当該保険薬局に継続して1年以上在籍
8在宅患者訪問薬剤管理指導の届出・体制整備・周知
9調剤従事者等の資質向上(定期的な研修の実施、学会への定期的な参加・発表)
10医薬品安全情報への対応(PMDAメディナビに登録)
11医薬品情報の提供体制の確保
12患者のプライバシーへの配慮(パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど)
13一般用医薬品(OTC)の販売
14地域住民の生活習慣の改善、疾病予防に資する取り組み
15健康相談または健康教室を行っている旨を薬局の内外に掲示・周知
16医療材料および衛生材料の供給体制
17在宅療養の支援に係る診療所・病院・訪問看護ステーションとの円滑な連携
18ケアマネージャー・社会福祉士等の他の保健医療サービス・福祉サービスとの連携
19薬局機能情報提供制度において、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近1年以内に報告していること(※こちらの記事に詳しく書いてます
20副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を構築
21処方箋集中率が85%超の場合は、後発医薬品の使用数量の割合が50%以上であること
22前年3月1日から当年2月末日までの実績をもって施設基準の適合性を判断し、当年4月1日から翌年3月末日まで所定点数を算定できる
常勤薬剤師数は、前年12月1日から当年1月末日までの勤務状況に基づき算出
プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無

薬局機能情報提供制度において、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」とするには、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 医療機関等と連携し、副作用等の健康被害の回避症例等を共有する取組に参加し、前年1年間(1月1日~12月31日)にプレアボイド事例を提供している
  • ヒヤリ・ハット事業の「参加薬局」として登録し、前年1年間(1月1日~12月31日)に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を報告している

調剤基本料1を算定している薬局の経過措置について

上記のとおり、調剤基本料1の薬局の実績要件の経過措置は、令和3年(2021年)3月31日までです。

2021年4月以降も引き続き地域支援体制加算を算定する場合は、今年度の実績要件を満たしておく必要がありますので、ご注意ください。

いつからいつまでの実績をみるのか?

調剤基本料1の薬局および調剤基本料1以外の薬局ともに、前年実績としてカウントする期間は以下のとおりです。

  • 前年3月1日から当年2月末日までの実績

また、常勤薬剤師数の換算は、届出前3月間の勤務実績で行いますが、以下のとおりとなります。

  • 前年12月1日から当年2月末日までの勤務実績

これらの前年実績を満たすことで、当年4月1日から翌年3月末日まで地域支援体制加算の点数を算定できるようになります。

1 地域支援体制加算に関する施設基準

〜一部省略〜

(24) 施設基準に適合するとの届出をした後は、(1)のアの(イ)の②、④及び(1)のイの(イ)の①から⑨までについては、前年3月1日から当年2月末日までの実績をもって施設基準の適合性を判断し、当年4月1日から翌年3月末日まで所定点数を算定できるものとする。この場合の常勤薬剤師数は、前年12月1日から当年2月末日までの勤務状況に基づき算出する。

出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて ┃ 厚生労働省

出典:令和2年度診療報酬改定の概要(調剤) ┃ 厚生労働省

地域支援体制加算の施設基準の届出

地域支援体制加算の施設基準に係る届出は、別添2の様式87の3及び様式87の3の2又は様式87の3の3を用いること。

疑義解釈(Q&A)のまとめ

今までの地域支援体制加算の疑義解釈をまとめてみました。

2018年度(平成30年度)改定以前の疑義解釈については、現行に合わせて内容を一部修正または削除しております。

調剤基本料1を算定する保険薬局に適用される実績要件にっいては、令和3年3月31日までの間は改定前の基準が適用されることとなっている。改定前に地域支援体制加算の届出を行っていなかった保険薬局であっても、令和3年3月末までの間は、改定前の基準が適用されるのか。

改定前の基準が適用される。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2020年(令和2年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

地域支援体制加算の施設基準における「地域の多職種と連携する会議」 とは、どのような会議が該当するのか。

次のような会議が該当する。

ア 介護保険法第115条の48で規定され、市町村又は地域包括支援センターが主催する地域ケア会議

イ 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 (平成11年厚生省令第38号)第13条第9号で規定され、介護支援専門員が主催するサービス担当者会議

ウ 地域の多職種が参加する退院時カンファレンス

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2020年(令和2年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

「地域の多職種と連携する会議」への参加実績は、非常勤の保険薬剤師が参加した場合も含めて良いか。

良い。ただし、複数の保険薬局に所属する保険薬剤師の場合にあっては、実績として含めることができるのは1箇所の保険薬局のみとする。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2020年(令和2年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

調剤基本料1を算定する保険薬局であって、注4又は注7の減算規定に該当する場合、地域支援体制加算の実績要件等は調剤基本料1の基準が適用されるのか。

調剤基本料1の基準が適用される。

なお、これに伴い、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(平成28年3月31日付け事務連絡)別添4の間12は廃止する。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2020年(令和2年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

地域支援体制加算が新設され、基準調剤加算が廃止されたが、両加算で共通する施設基準については、その取り扱いに変更はないと解してよいか。

また、平成30年3月31日において現に基準調剤加算を算定している保険薬局が、4月以降に地域支援体制加算を算定するため4月16日までに施設基準の届出を行う場合、基準調剤加算の施設基準と同一の要件であっても改めて関係書類を添付する必要があるか。

変更ないものとして取り扱ってよい。また、改定前の基準調剤加算届出時の添付書類と内容に変更を生じていないものについては、改めて同じ書類を添付しなくても差し支えない。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2018年(平成30年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

地域支援体制加算の地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績のうち、(ト)の在宅患者訪問薬剤管理指導料等の単一建物診療患者が1人の場合の算定回数について、改定前の在宅患者訪問薬剤管理指導料等の同一建物居住者以外の場合の算定回数を含めてよいか。

届出前の直近1年間に実施したものは含めて差し支えない。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2018年(平成30年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

地域支援体制加算の算定要件に 「当該保険薬局の開局時間は、平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局していること」 とあるが、祝日を含む週(日曜始まり)については、「週45時間以上開局」 の規定はどのように取り扱うのか。

国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日並びに1月2日、3日、12月29日、12月30日及び31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断すること。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2016年(平成28年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

地域支援体制加算の算定要件について、「土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局」とあるが、「一定時間以上」 は具体的に何時間必要か。

地域支援体制加算の開局時間の要件は、特定の医療機関の診療時間にあわせるのではなく、地域住民のため、必要なときに調剤応需や相談等に応じられる体制を評価するために定めたものである。平日は毎日1日8時間以上の開局が必要であるが、土曜日又は日曜日の開局時間に関しては、具体的な時間数は規定しない。ただし、算定要件を満たすためだけに開局するのではなく、地域の保険医療機関や患者の需要に対応できる開局時間を確保することが必要である。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2016年(平成28年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

地域支援体制加算の算定要件について 「患者のプライバシーに配慮していること」とされているが、具体的にはどのような対応が必要となるのか。

患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないように配慮する必要がある。具体的には、複数のカウンターがある保険薬局はその両サイドをパーテーションで区切ることが考えられる。また、カウンターと待合室との距離が短い場合は十分な距離を確保することや、会話が他の患者に聞こえないような対策をとるなど、やりとりが漏れ聞こえないような対応が必要となる。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2016年(平成28年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

連携する保険薬局の要件である 「近隣」の定義はあるか。

地域における患者の需要に対応できること等が必要である。

━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2014年(平成26年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

地域支援体制加算の要件である調剤従事者等の資質の向上を図るための研修とは、地域薬剤師会による研修会でも良いか。

良い。職員等に対する研修実施計画を作成し、当該計画書に基づき資質向上のための研修を行うことであり、地域の薬剤師会による研修以外に、研修認定薬剤師制度の対象学会、セミナー等の参加もあり得る。また特に、研修時間、講師などについても規約はない。なお、研修で用いた資料は必要に応じて参照できるよう保存・管理を行うこと。

━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

地域支援体制加算は、時間外加算の対象となるのか。

対象となる。時間外加算、休日加算及び深夜加算を算定する場合の基礎額(調剤基本料+調剤料)には、地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算、無菌製剤処理加算及び在宅患者調剤加算が含まれる。

━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

施設基準を満たした調剤薬局において、2回目以降の分割調剤5点の調剤基本料算定時に(医師の分割指示に係る処方箋によるものを除く)、地域支援体制加算は認められるのか。

認められない。

━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課

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この記事を書いた人

Hiroshi.K
Hiroshi.K
メディカルサーブ株式会社 代表取締役

システムコンサルタント、インストラクター、エンジニア、デザイナー、講師など、いくつもの肩書を兼任。いわゆるプレイングマネジャー。
趣味はマラソン。マラソン歴10年目にしてサブスリーを達成。フルマラソン自己ベストは2:57:40(第8回水戸黄門漫遊マラソン:2023/10/29)
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#006 地域支援体制加算の要件 ー 2020改定版 –”へ2件のコメント

  1. るーな より:

    地域支援体制加算を2021年4月以降も継続して算定するためには、新要件を2020年4月から2021年3月末までの一年間の期間の実績で満たせばよろしいのでしようか?

    3月から翌年2月末の一年間での実績が通常の期間だと思われますが、今回は診療報酬改定により、要件追加が、2020年4月からだと思うので、4月から3月の一年なのかな?
    と思っております

    1. Hiroshi.K より:

      るーな様

      お問い合わせありがとうございます!

      ご質問の件ですが、当年4月1日から翌年3月末まで算定する施設基準の前年実績は、前年3月から当年2月末までの実績で判断いたします。
      なので、2021年4月以降も引き続き算定する場合は、2020年3月1日から2021年2月28日までの実績をみることになりますね。

      実績期間についての記載が漏れておりましたので、ページ最後に追記させていただきました。

      あと、プレアボイド事例の報告も今年12月までの実績が来年1月に報告する薬局機能情報に反映されるので、忘れないように気をつけてくださいね。

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