#060 一包化加算
100日連続ブログ更新チャレンジ - 60日目 #Challenge100
本日は、一包化加算についてまとめてみました。
一包化加算とは
2剤以上の内服薬または1剤で3種類以上の内服薬を服用時点ごとに一包化を行った場合には、一包化加算として、当該内服薬の投与日数に応じ、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
一包化加算(調剤料加算/内服薬のみ)
一包化加算の留意事項
- 一包化とは、服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤(剤数が2以上で、服用時点が重なっている場合)または1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として患者に投与することをいう。なお、一包化に当たっては、錠剤等は直接の被包から取り出した後行うものである。
- 一包化は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること、または心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に、医師の了解を得た上で行うものである。
- 薬剤師が一包化の必要を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合は、その旨及び一包化の理由を調剤録等に記載する。
- 患者の服薬および服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、錠剤と散剤を別々に一包化した場合、臨時の投薬に係る内服用固形剤とそれ以外の内服用固形剤を別々に一包化した場合等も算定できるが、処方箋の受付1回につき1回に限り算定する。
- 同一薬局で同一処方箋に係る分割調剤(長期保存の困難性等の理由による分割調剤、または後発医薬品の試用のための分割調剤に限る。)をした上で、2回目以降の調剤について一包化を行った場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数を所定点数に加算する。
- 一包化加算を算定した場合は、嚥下困難者用製剤加算を算定できない。
- 一包化加算を算定した範囲の薬剤については、自家製剤加算及び計量混合調剤加算は算定できない。
- 単に患者の希望による一包化は、一包化加算の対象とならない。(その場合、一包化サービスとして患者から実費を徴収しても差し支えない)
一包化加算の算定例
例 | 処方内容 | 算定の可否 |
---|---|---|
1 | Rp1 A錠 3錠 B錠 3錠 分3 毎食後 14日分 Rp2 C錠 1錠 分1 朝食後 14日分 (一包化) | 服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤が処方されているので、一包化加算が算定できる(「朝食後」で2つ重なっている) |
2 | Rp1 A錠 6錠 B錠 3錠 C散 3g 分3 毎食後 14日分 (一包化) | 1剤で3種類以上の内服用固形剤が処方されているので、一包化加算が算定できる |
3 | Rp1 A錠 6錠 B錠 3錠 分3 毎食後 14日分 Rp2 C錠 2錠 分2 朝夕食前 14日分 (一包化) | 服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤が処方されているが、服用時点が重なっていないので、一包化加算は算定できない |
4 | Rp1 A錠10mg 1錠 分1 朝食後 14日分 Rp2 A錠20mg 1錠 分1 夕食後 14日分 Rp3 B錠 2錠 分2 朝夕食後 14日分 (一包化) | 同一薬剤の規格違いは1種類とみなすので、この場合は1剤2種類となり、一包化加算は算定できない |
レセプト摘要欄へのコメント記載
(同一の保険医療機関で一連の診療に基づいて同一の患者に対して交付され、受付回数1回とされた異なる保険医の発行する処方箋に係る調剤については、同一調剤であっても、それぞれ別の「処方」欄に記載することとされているが、このことにより、一包化加算、自家製剤加算及び計量混合調剤加算を算定した場合であって「処方」欄の記載内容からは加算理由が不明のとき)
算定理由が明確となるように記載すること
電算コード | 左記コードによるレセプト表示文言 |
---|---|
830100440 | 異なる保険医の発行する処方箋に係る算定理由(一包化加算);****** |
(例)医師の指示どおり、同一医療機関の複数診療科の処方箋の薬剤を合わせて一包化
一包化加算に関する疑義解釈(Q&A)のまとめ
今までの一包化加算に関する疑義解釈をまとめてみました。
-
処方された薬剤を一包化する際に、吸湿性が強い等の理由で直接の被包(PTPシート)から取り出すことができない薬剤をPTPシートで交付するなど一包化とは別にした場合であっても、その薬剤を除いて一包化した部分が算定要件を満たしていれば一包化加算を算定できるか。
-
算定して差し支えない。
この場合、一包化をしなかった薬剤及びその理由を調剤録等に記録しておくことが望ましい。
━ 疑義解釈資料の送付について(その12)2015年(平成27年)2月3日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
一包化加算の算定に当たっては、同一銘柄の同一剤形で規格のみが異なる薬剤が同時に調剤された場合(例えば0.5mg錠と1mg錠)は1種類として取り扱うことでよいか。
-
貴見のとおり。
━ 疑義解釈資料の送付について(その12)2015年(平成27年)2月3日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
一包化加算を算定した場合においては、自家製剤加算及び計量混合調剤加算は算定できないとされているが、一包化加算の算定と無関係の剤について自家製剤加算又は計量混合調剤加算を算定すること(例えば、以下の処方において、処方1又は処方2で一包化加算、処方3で計量混合調剤加算を算定すること)は可能か。
処方1 A錠、B錠 1日3回毎食後 × 14日分
処方2 C錠、D錠 1日2回朝タ食後 × 14日分
処方3 E散、F散 1日1回就寝前 × 14日分
-
算定可能。
自家製剤加算及び計量混合調剤加算は、原則として1調剤行為に対して算定することとしている。質問の例においては、処方1と処方2で一包化加算の算定要件を満たしており、処方1又は処方2のいずれかで一包化加算を算定することになるが、処方3は、一包化加算の算定対象となる処方1及び処方2のいずれとも服用時点の重複がなく、一包化加算の算定対象とならないことから、処方3について計量混合調剤加算の算定が可能である。
━ 疑義解釈資料の送付について(その3)2010年(平成22年)4月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
嚥下困難者用製剤加算を算定した場合においては、一包化加算は算定できないとされているが、以下のような服用時点の重複のない2つの処方について、処方せんの指示により、嚥下困難者のために錠剤を粉砕し、服用時点ごとに一包化した場合、処方1で一包化加算、処方2で嚥下困難者用製剤加算を算定することは可能か。
処方1 A錠、B錠、C錠 1日3回毎食後 × 14日分
処方2 D錠、E錠、F錠 1日1回就寝前 × 14日分 -
算定不可。
一包化加算と嚥下困難者用製剤加算は、いずれも原則として処方せん中のすべての内服薬について一包化又は剤形の加工を行うことを前提とし、当該技術全体を評価したものであり、処方せん受付1回につき1回の算定としている。
したがって、2つの処方における服用時点の重複の有無にかかわらず、1枚の処方せんについて、一包化加算と嚥下困難者用製剤加算はいずれか一方しか算定できない。
━ 疑義解釈資料の送付について(その3)2010年(平成22年)4月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
一包化加算の算定要件における「投与日数が7」とは、服用時点に関係なく、実際に調剤された日数と解釈して良いか。
-
その通り。隔日投与の場合であっても実際に一包化した調剤日数分となる。
━ 疑義解釈資料の送付について 2002年(平成14年)4月11日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
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患者の服薬及び服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、散剤と錠剤を別々に一包化した場合等でも算定できるとあるが、具体的にどのような場合か。別に一包化した場合の理由として「服用しづらいから」でも良いか。
-
一包化の目的を考えた場合、別々にして患者に交付することは好ましいことではないが、数種類の錠剤と1回数gの散剤を一包化することによって、患者の服薬及び服用する薬剤の識別が困難な場合などは、別々に一包化することは可能である。その際は、別に一包化した理由を調剤録等に記載すること。
また一包化が医師の指示によるものであった場合には、別々に一包化する理由を処方医に伝えて了解を得た上で、その旨も併せて調剤録に記載すること。
━ 疑義解釈資料の送付について 2002年(平成14年)4月11日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
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この記事を書いた人
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メディカルサーブ株式会社 代表取締役
システムコンサルタント、インストラクター、エンジニア、デザイナー、講師など、いくつもの肩書を兼任。いわゆるプレイングマネジャー。
趣味はマラソン。マラソン歴10年目にしてサブスリーを達成。フルマラソン自己ベストは2:57:40(第8回水戸黄門漫遊マラソン:2023/10/29)
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一包化加算についてのご相談です。88歳の他剤服用されている方で、28日処方です。
今まで、朝・昼・夕の食前、食後、別包で、ワーファリン、下剤のみで朝・昼・夕の計10種類分包してきましたが、今回から、朝食後の中から3剤取り出して、各1剤ずつ一包化と言われましたが、計13種の分包になりました。この場合、一包化加算以外の方法はありませんか。
林 玲子 様
コメントありがとうございます!
ご質問の件ですが、残念ながら分包数が多くなったとしても、算定要件に対する一包化加算は28日分となりますね。
たとえば、別の医療機関のお薬や患者さんの持参薬をまとめて一包化してあげたり、飲み忘れを防ぐためにおくすりカレンダーにセットしてあげる等の要件を満たすことができれば、処方とは別に外来服薬支援料を算定することは可能かもしれません。
https://medical-sv.com/pharmacy/dispensing-fee-revision/revision2020/gairai-fukuyaku-shienryo/
詳しい状況が分かりかねるので、これ以上のご回答は難しいですが、もしご不明な点があれば地域の厚生局や薬剤師会、支払基金等へお問い合わせいただければと思います。
どうぞ、ご参考までに。