#044 服薬情報等提供料
100日連続ブログ更新チャレンジ - 44日目 #Challenge100
本日は、服薬情報等提供料について、まとめてみました。
服薬情報等提供料とは
服薬情報等提供料は、保険薬局において調剤後も患者の服用薬や服薬状況に関する情報等を把握し、患者もしくはその家族等または保険医療機関に当該情報を提供することにより、医師の処方設計および患者の服薬の継続または中断の判断の参考とする等、保険医療機関と保険薬局の連携の下で医薬品の適正使用を推進することを目的とするものである。
薬学管理料
- 服薬情報等提供料1 30点(月1回に限る)
- 服薬情報等提供料2 20点(月1回に限る)
服薬情報等提供料1と2の違い
服薬情報等提供料1 | 医療機関の求め | 医療機関に情報提供 |
---|---|---|
服薬情報等提供料2 | 患者等の求め、または薬剤師の判断 | 患者等に情報提供、または医療機関に情報提供 |
服薬情報等提供料1の算定要件
服薬情報等提供料1は、保険医療機関から以下に掲げる情報提供の求めがあった場合にその理由とともに、患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書等により提供した場合に算定できる。
- 当該患者の服用薬及び服薬状況
- 当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等
- 処方箋を発行した保険医療機関が患者の服用薬の残薬の報告を求めており、保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、当該保険医療機関に対して情報提供を行った場合
- 医師の指示による分割調剤において、2回目以降の調剤時に患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、処方医に対して情報提供を行った場合。この場合において、次に掲げる事項を含めるものとする。
- 残薬の有無、残薬が生じている場合はその量及び理由
- 副作用の有無、副作用が生じている場合はその原因の可能性がある薬剤の推定
- 保険医療機関からの求めに応じ、入院前の患者の服用薬について確認し、依頼元の医療機関に情報提供した場合
服薬情報等提供料2の算定要件
服薬情報等提供料2は、以下の場合に算定できる。
- 患者又はその家族等の求めがあった場合、患者の同意を得て、次に掲げる情報等の内容について、患者又はその家族等に対して速やかに提供等し、当該情報に関する患者の状態等の確認及び必要な指導を次回以降の来局時に行った場合。
- 緊急安全性情報、安全性速報や医薬品・医療機器等安全性情報など、処方箋受付時に提供した薬剤情報以外の情報で患者の服薬期間中に新たに知り得た情報
- 患者の服薬期間中に服薬状況の確認及び必要な指導
- 保険薬局の薬剤師が薬剤服用歴に基づき患者の服薬に関する以下に掲げる情報提供の必要性を認めた場合にその理由とともに、患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書等により提供した場合。
- 当該患者の服用薬及び服薬状況
- 当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等
- 当該患者が容易に又は継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報(単に処方箋の記入上の疑義照会等では算定できない)
- 保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、処方箋を発行した保険医療機関に対して情報提供を行った場合
今回の改定での変更点
分割調剤時の服薬情報等提供料の取扱い
医師の指示による分割調剤を実施する際に処方医に情報提供を行う場合、分割回数で除した点数ではなく、通常の点数(30点)を算定できることとする。
その他、注意事項
- 服薬期間中の体調の変化等の患者の訴えや自覚症状がある場合には、患者の自覚症状が薬剤の副作用によるものか否かに関する分析結果も含めて情報提供することとし、また、患者に対する服薬指導は、当該分析結果を踏まえたものとする。なお、患者の自覚症状の分析に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とすることが望ましい。
- 保険医療機関への情報提供については、患者1人につき同一月に2回以上服薬情報等の提供を行った場合においても、月1回のみの算定とする。ただし、複数の保険医療機関又は診療科に対して服薬情報等の提供を行った場合は、当該保険医療機関又は診療科ごとに月1回に限り算定できる。
- 服薬情報等提供料2について、患者の服薬期間中に情報提供した事項、服薬期間中及び処方箋受付時に確認した患者の服薬状況等及び指導等については、情報提供の都度、薬剤服用歴の記録に記載する。
- 算定単位となる「月」については、月の初日から末日をさす。
- 署名または記名押印を要する文書については自筆の署名(電子的は署名を含む)がある場合には「印」は不要である。
服薬情報等提供料の算定ができないケース
同一月において、以下を算定している患者については、服薬情報等提供料を算定することはできない。
- かかりつけ薬剤師指導料
- かかりつけ薬剤師包括管理料
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 居宅療養管理指導費(介護予防居宅療養管理指導費)
【別紙様式1】患者の服薬状況等に係る情報提供書
保険医療機関への情報提供に当たっては、別紙様式1又はこれに準ずる様式の文書等に必要事項を記載し、患者が現に診療を受けている保険医療機関に交付し、当該文書等の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておく。
疑義解釈(Q&A)のまとめ
今までの服薬情報等提供料に関する疑義解釈をまとめてみました。
-
かかりつけ薬剤師指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料等を算定していない患者について、当該患者の介護にかかわっている介護支援専門員等からの求めに応じ、服薬状況の確認及び必要な指導の内容について提供した場合に、服薬情報等提供料2を算定して差し支えないか。
-
患者の同意を得るなどの要件を満たせば、算定して差し支えない。
━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2018年(平成30年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
服薬情報等提供料2について、患者、その家族等へ必要な情報提供、指導等を行った場合は月1回の算定制限がないと考えてよいか。
-
貴見のとおり。
━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2016年(平成28年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
服薬情報等提供料について、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合には算定できないこととされているが、同一月内でこれらの指導料等を算定していれば、服薬情報等提供料は算定できないのか。
-
かかりつけ薬剤師指導料等を算定している月であれば、服薬情報等提供料に相当する業務も当該指導料等の中で行うことになるので、服薬情報等提供料は算定できない。
━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2016年(平成28年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
点数表の簡素化の観点から、調剤情報提供料と服薬情報提供料が廃止され、平成24年4月から服薬情報等提供料に統合された。平成24年3月までは、
①吸湿性等の理由により長期保存の困難性等から分割調剤する必要がある場合や、
②粉砕等の特殊な技術工夫により薬剤の体内動態への影響を認める場合には、
調剤情報提供料を算定できたが、平成24年4月以降については、これに代わり服薬情報等提供料を算定するという理解で良いか。
-
そのとおり。
━ 疑義解釈資料の送付について(その2)2012年(平成24年)4月20日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
入院中の患者が他医療機関を受診して処方せんが交付された場合、出来高入院料を算定する病床の入院患者であれば、これまでは調剤情報提供料を算定できたが、平成24年4月からは、調剤情報提供料及び服薬情報提供料を統合して新設された服薬情報等提供料を算定できるものと理解して良いか。
-
貴見のとおり。
━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2012年(平成24年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
服薬情報等提供料(患者またはその家族等の求めによる場合を除く)は、 医療機関ごとに月1回算定できると考えて良いか。
-
その通り。ただし、異なる医療機関又は診療科に対する服薬情報提供であれば、当該医療機関又は診療科ごとに月1回に限り算定できる。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
服薬情報等提供料は、薬剤服用歴管理指導料を算定していなくても算定可能か。
-
算定できる。薬歴に基づき保険薬局が情報提供の必要性を認めた場合のほか、医師の求めに応じ患者の服薬状況を保険医療機関に情報提供する場合や、患者又はその家族等の求めにより処方箋受付時に提供した薬剤情報以外の情報で患者の服薬期間中に新たに知り得た情報を提供した場合もある。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
服薬情報等提供料は、処方箋受付のない日でも、算定要件を満たせば算定可能か。
-
可能。次回の処方箋受付時に算定できる。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
服薬情報等提供料を算定した場合には、レセプト摘要欄への記載が必要か。
-
レセプト摘用欄への記載は必要ないが、医療機関等に情報提供した文書の写しを薬剤服用歴の記録などに添付しておくことが求められる。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
処方箋の記入上の疑義等では算定できないとあるが、具体的にはどのようなものか。
-
薬学的な判断を伴わない、以下のようなものがあげられる。
①単なる処方箋上の記入漏れ、記入ミス、判読不能。
②軟膏をどこに塗るか。
③点眼をどちらの目にさすか。 など
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
調剤上問題のある処方が繰り返して続く場合は、その都度算定してよいか。
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算定できない
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
患者又はその家族等の求めに応じて実施した情報提供については、次回処方箋受付時に算定できるが、前回の処方箋受付日から次回の処方箋受付日までの経過時間に制限はないと考えて良いか。
-
そのとおり。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
患者又はその家族等の求めに応じて実施した情報提供については、患者や家族からの電話により服薬指導を行った場合であっても算定可能か。
-
算定できる。ただし、本情報提供料の算定について患者の同意が得られている場合であって、かつ次回受付時に再度、服薬状況や患者の体調変化などを確認した場合に限る。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
患者又はその家族等の求めに応じて実施した情報提供については、算定日の間隔に制限はないと考えて良いか。
-
そのとおり。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
服用期間中の患者に重大な影響を与える新たに知り得た情報とはどういうものか。
-
医薬品緊急安全性情報(いわゆるドクターレター)、医薬品等安全性情報などがあげられる。薬歴に基づき、新たに認められた一部の併用薬、飲食物との「相互作用」や「警告」、「禁忌」などの重篤な副作用の追加などが、服用期間中の患者に重大な影響を与えると判断される場合を想定している。当該情報提供に当たっては、単に患者を不安がらせ、薬剤の中止や一律に受診を促すなどのことがないよう十分な経験を積んだ薬剤師により適切に行われるものと理解している。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
患者またはその家族等の同意については、文書により得る必要があるのか。
-
文書による同意は必要ない。ただし、その旨を薬歴または調剤録に記載しておく必要がある。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
参考サイト
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示) 別表第三 調剤報酬点数表 │ 厚生労働省
●100日連続更新達成まで、あと56日! #Challenge100
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この記事を書いた人
-
メディカルサーブ株式会社 代表取締役
システムコンサルタント、インストラクター、エンジニア、デザイナー、講師など、いくつもの肩書を兼任。いわゆるプレイングマネジャー。
趣味はマラソン。マラソン歴10年目にしてサブスリーを達成。フルマラソン自己ベストは2:57:40(第8回水戸黄門漫遊マラソン:2023/10/29)
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