#057 自家製剤加算
100日連続ブログ更新チャレンジ - 57日目 #Challenge100
本日は、自家製剤加算についてご紹介いたします。
自家製剤加算とは
次の薬剤を自家製剤のうえ調剤した場合は、1調剤につき、それぞれの点数を各区分の所定点数に加算する。
自家製剤加算(調剤料加算)
内服薬および屯服薬(投与日数が7またはその端数を増すごとに) | 予製剤 | |
---|---|---|
内服薬(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤またはエキス剤の内服薬) | 20点 | 4点 |
屯服薬(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤またはエキス剤の屯服薬) | 90点 | 18点 |
液剤 | 45点 | 9点 |
外用薬 | 予製剤 | |
---|---|---|
錠剤、トローチ剤、軟・硬膏剤、パップ剤、リニメント剤、坐剤 | 90点 | 18点 |
点眼剤、点鼻・点耳剤、浣腸剤 | 75点 | 15点 |
液剤 | 45点 | 9点 |
自家製剤加算と計量混合調剤加算の違い
- 自家製剤加算…技術的により難易度の高い製剤行為
- 錠剤を粉砕→散剤
- 主薬を溶解→点眼剤(無菌精製)
- 主薬に基剤→坐剤
- 割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割(同一規格がない場合)
- 計量混合調剤加算…それ以外の基本的に剤形が変化しない製剤行為
※製剤行為の結果、原則として剤形が変化したもの
自家製剤加算と計量混合調剤加算は同時算定できる?
服用時点が異なる場合(別剤)は同時算定は可能だが、服用時点が同一の場合(同一剤)はどちらか一方の算定となります。
服用時点が異なる場合(別剤)
処方 | 製剤行為 | 算定可否 | |
---|---|---|---|
Rp.1 | A錠 0.5錠 分1 14日分 | 錠剤を分割 | 自家製剤加算 |
Rp.2 | B散 1.5mg C散 1.5mg 分3 14日分 | 計量混合 | 計量混合調剤加算 |
服用時点が同一の場合(同一剤)
処方 | 製剤行為 | 算定可否 | |
---|---|---|---|
Rp.1 | A錠 0.5錠 B散 2mg C散 1mg 分1 14日分 | 錠剤を分割 | 自家製剤加算または計量混合調剤加算のどちらか一方を算定 |
計量混合 |
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
自家製剤加算の留意事項
- 本加算に係る自家製剤とは、個々の患者に対し市販されている医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づき、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等必要と認められる添加剤の使用、ろ過、加温、滅菌等)を行った次のような場合であり、既製剤を単に小分けする場合は該当しない。
- 錠剤を粉砕して散剤とすること。
- 主薬を溶解して点眼剤を無菌に製すること。
- 主薬に基剤を加えて坐剤とすること。
- 自家製剤加算は、薬価基準に収載されている医薬品に溶媒、基剤等の賦形剤を加え、当該医薬品と異なる剤形の医薬品を自家製剤の上調剤した場合に算定できるが、次の場合は、本加算を算定できない。
- 調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合
- 液剤を調剤する場合であって、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という。)上の承認事項において用時溶解して使用することとされている医薬品を交付時に溶解した場合
- 割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は、錠剤として算定する。ただし、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない。
- 自家製剤加算を算定した場合には、計量混合調剤加算は算定できない。
- 「予製剤」とは、あらかじめ想定される調剤のために、複数回分を製剤し、処方箋受付時に当該製剤を投与することをいう。
- 通常、成人または6歳以上の小児に対して矯味剤等を加える必要がない薬剤を6歳未満の乳幼児(以下「乳幼児」という。)に対して調剤する場合において、薬剤師が必要性を認めて、処方医の了解を得た後で、単に矯味剤等を加えて製剤した場合であっても、内服薬、内服用液剤、屯服薬に係る本加算を算定できる。
- 自家製剤を行った場合には、賦形剤の名称、分量等を含め製剤工程を調剤録等に記載すること。
- 自家製剤は、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うこと。
レセプト摘要欄への記載事項
(自家製剤加算を算定した場合であって「処方」欄の記載内容からは加算理由が不明のとき)
算定理由が明確となるように記載すること。
電算コード | 左記コードによるレセプト表示文言 |
---|---|
830100438 | 算定理由(自家製剤加算);****** |
ポイント
「処方欄の記載内容からは加算理由が不明のとき」にこのコメントコードが必要なので、例えば以下の場合は自家製剤加算を算定していてもコメントコードを入れる必要はありません。
- 【例】分1−0.5錠、分2−1錠 など
(半錠にしていることが分かるため、コメントコードは不要) - 【例】子どもの処方で、多種類の散剤の中に1種類だけ錠剤がある場合 など
(粉砕していることが分かるため、コメントコードは不要)
逆に、大人の処方で一つだけ粉砕している等、処方内容だけでは理由が判別ができない場合は「医師より粉砕の指示あり」等、コメントを入れる必要があります。
※2020年10月よりコード義務化となりましたが、今までフリーテキストで入力していたものがコード化されただけで、摘要欄の記載要件自体は変わっておりません。また、地域によりルールが異なる場合がありますので、事前に審査支払機関にご確認ください。(当記事の見解は弊社所在地である茨城県のケース)
自家製剤加算に関する疑義解釈(Q&A)のまとめ
-
自家製剤加算について「調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できないこと」とされているが、以下のような場合も同様に算定できないと理解してよいか。
RP A錠200mg 1回1.5錠 疼痛時服用
(注:A錠と同一有効成分の100mg規格は薬価基準に収載されていないが、300mg規格が収載されている。) -
この場合、200mg錠を1.5錠調剤したとしても、同量に相当する300mg錠があるので算定不可。
━ 疑義解釈資料の送付について(その1)2016年(平成28年)3月31日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
自家製剤加算および計量混合調剤加算のうち、「特別の乳幼児用製剤を行った場合」の点数は廃止されたが、乳幼児の調剤のために、矯味剤等を加えて製剤した場合や微量のために賦形剤・矯味矯臭剤等を混合した場合には、自家製剤加算又は計量混合調剤加算を算定できるという理解で良いか。
-
貴見のとおり。
━ 疑義解釈資料の送付について(その2)2012年(平成24年)4月20日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
6歳未満の乳幼児(以下単に「乳幼児」という。)の調剤のために、矯味剤等を加えて製剤した場合や微量のために賦形剤・矯味矯臭剤等を混合した場合には、自家製剤加算又は計量混合調剤加算を算定することができるとされているが、当該加算は、乳幼児ごとにその必要性を適切に判断した上で行われるものであって、すべての乳幼児に対して一律に算定できるものではないという理解で良いか。
-
貴見のとおり。
━ 疑義解釈資料の送付について(その3)2012年(平成24年)4月27日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
自家製剤加算において、錠剤の半割を行った場合に算定する区分(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、頼粒剤又はエキス剤の内服薬。ただし、特別の乳幼児用製剤を行った場合を除く。)については、投与日数が7又はその端数を増すごとに所定点数を算定することとされたが、この「投与日数」 とは、服用時点に関係なく、実際に自家製剤の上調剤した日数と解釈してよいか。
-
その通り。隔日投与等の場合であっても実際に自家製剤の上調剤した日数分について算定する。
━ 疑義解釈資料の送付について(その2)2012年(平成20年)5月9日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
自家製剤加算を算定した場合には、計量混合調剤加算は算定できないとあるが、剤が異なる場合は、算定可能か。
-
以下の事例のように、「剤」 が異なれば、両者の算定は可能である。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
1回量が1錠に満たない場合など、錠剤を粉砕し乳糖などを賦形して散剤とした場合などに使用した乳糖は、薬剤料として別途請求可能か。
-
賦形剤は請求できる。なお、自家製剤加算は、個々の患者の特性に合わせ、市販されている剤形、含量では対応できない場合の製剤技術を評価したものであり、製剤工程中に使用した製剤化に必要な安定剤、溶解剤、矯味・矯臭剤などは、薬価収載されているものであっても別に請求することはできない。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
成人用のカプセル剤をあけて、又は錠剤を粉砕して小児用に計量した場合に自家製剤加算を算定できるか。
-
自家製剤加算の算定要件を満たせば算定は可能である。ただし、小児に対しても適応される医薬品であれば、通常、散剤または水剤があると思われるので、医師に照会を行い、処方変更等の可能性があると考えられ、当該製品がない場合に限る。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
処方箋に「半錠」の指示がある場合、自家製剤加算を算定できるか。
-
自家製剤加算の算定要件としては、剤形の変更が伴うものであるが、割線のある錠剤を半分に割る場合は剤形の変更が認められると判断し算定可能である。当然ながら割線のない錠剤の場合は、薬物動態及び品質上の問題がないことが前提であり、また、半錠の含量の製品が薬価収載されている場合には算定できない。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
割線のある錠剤の4分割は算定可か。
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フルイトランなど客観的に均一にできる根拠があれば算定可能。また、医師の了解を得た上で散剤として製剤した場合には、自家製剤加算が算定可能である。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
-
割線がない錠剤を分割しても、薬物動態に影響なければ算定可か。
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含量の均一性を保障できない場合がある。ただし、医師の了解を得た上で散剤とした場合には、自家製剤加算が算定可能である。
━ 疑義解釈資料の送付について 2004年(平成16年)3月30日 ┃ 厚生労働省保険局医療課
●100日連続更新達成まで、あと43日! #Challenge100
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この記事を書いた人
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メディカルサーブ株式会社 代表取締役
システムコンサルタント、インストラクター、エンジニア、デザイナー、講師など、いくつもの肩書を兼任。いわゆるプレイングマネジャー。
趣味はマラソン。マラソン歴10年目にしてサブスリーを達成。フルマラソン自己ベストは2:57:40(第8回水戸黄門漫遊マラソン:2023/10/29)
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