「 地域支援体制加算 」の経過措置による届出
2018年度(平成30年度)調剤報酬改定で新設された「地域支援体制加算」には、2019年(平成31年)3月31日までの経過措置が設けられている要件があります。
2019年(平成31年)4月1日以降も引き続き「地域支援体制加算」を算定する場合は、経過措置に係る要件を満たした上で新たに届出が必要となりますので(もちろん、すでに経過措置に係る要件を満たした上で届出を行っている場合は不要ですよ)これから提出する薬局のみなさんのご参考になれば幸いです!
管轄の厚生局によって提出方法等が異なる場合がありますので、ご不明な点などございましたら必ず管轄の厚生局ににお問い合わせの上、届け出ていただけますようお願い申し上げます。
「地域支援体制加算」の経過措置に係る要件
(20)薬局機能情報提供制度実施要領(平成19年3月26日付け薬食発第0326026号厚生労働省医薬食品局長通知別添)4(2)①の都道府県が定める期日の前年1年間(1月1日から12月31日)に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を提供した実績を有し、「薬局機能に関する情報の報告及び公表にあたっての留意点について」(平成19年3月26日付け薬食総発第0326001号)に基づき、薬局機能情報提供制度において「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」としていること。
(通知)特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取り扱いについて │ 厚生労働省
今回の経過措置になっている要件は、いわゆる「プレアボイド」の項目になります。
簡単に言うと、以下のとおり。
- 前年1年間(1月1日から12月31日)に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を提供した実績がある
- 薬局機能情報提供制度において「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」としている
ということで、あらためて「薬局機能情報提供制度」の「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」の項目も見てみましょう!
プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無
プレアボイドとは、Prevent and avoid the adverse drug reaction(薬による有害事象を防止・回避する)という言葉を基にした造語であり、医療機関では一般社団法人日本病院薬剤師会においても薬剤師が薬物療法に直接関与し、薬学的患者ケアを実践して患者の不利益(副作用、相互作用、治療効果不十分など)を回避あるいは軽減した事例をプレアボイドと称して報告を収集し、共有する取組が行われているが、近年では、医療機関だけではなく、薬局における副作用等の健康被害の回避症例等も収集し、当該情報を医療機関等の関係者と連携して共有する取組も行われている。薬局においてこのような取組に参加し、事例の提供を行っている場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること。
また、当該項目に該当する取組として、薬局医療安全対策推進事業におけるヒヤリ・ハット事業の「参加薬局」として登録を行うだけではなく、薬局機能情報提供制度実施要領(平成19年3月26日付け薬食発第0326026号厚生労働省医薬食品局長通知別添)の都道府県が定める期日(以下「報告期日」という。)の前年1年間(1月1日~12月31日)に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を報告した場合も「有」として差し支えない。「薬局機能に関する情報の報告及び公表にあたっての留意点について」の改正について │ 厚生労働省
これらを要約すると、以下の2パターンのいずれかを満たす必要があるということになります。
パターンA
- 医療機関等と連携し、副作用等の健康被害の回避症例等を共有する取組に参加し、前年1年間にプレアボイド事例を提供している
パターンB
- ヒヤリ・ハット事業の「参加薬局」として登録
- 前年1年間(1月1日~12月31日)に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を報告
おそらく「パターンA」の薬局は少数でしょうから、ほとんどは「パターンB」になると思われます。
「パターンB」の場合、ヒヤリハット事業の登録が必須になるということで、昨年末の2018年12月18日に以下のような疑義解釈が公表されました。
【参考】疑義解釈資料の送付について(その10)─ 平成30年12月18日 ─
地域支援体制加算
- 問1 「地域支援体制加算の施設基準に係る届出書添付書類」(様式87の3)の「19 プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「あり」とするために、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業への事例報告(公益財団法人日本医療機能評価機構(以下「機構」という。)が実施)を行おうとする場合、事前に機構に参加薬局として登録(本登録)する必要があるが、今年度(平成30年度)は、登録しようとする薬局数が多く、仮登録から本登録までに数ヶ月を要している。既に参加登録の申請をしたにも関わらず本登録までに時間を要し、平成30年12月末までに機構に事例報告を行うことが困難な場合、どうすれば良いか。
- 様式87の3の添付資料として以下の(1)から(4)が厚生局に提出される場合は、同様式中の「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「あり」として差し支えない。
(1)薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業への参加登録の申請が平成30年12月末までに行われたことがわかる資料(機構の薬局ヒヤリ・ハット事例収集システムにおける仮登録完了時に機構から送付される電子メールの写し(「仮登録のお知らせ」の電子メールの写し)等)
(2)平成31年3月末までにプレアボイド事例(平成30年1月1日から同年12 月末までのものに限る。)を機構に報告したことがわかる資料(機構の薬局ヒヤリ・ハット事例収集システムにログイン後のトップメニューにある「事例管理」の検索結果の写し等)
(3)プレアボイド事例(平成30年1月1日から同年12月末までのものに限る。)の取組実績があることを確認できる資料(平成31年3月末までに機構に報告したプレアボイド事例の内容の写し等)
(4)薬局が所在する都道府県の薬局機能情報提供制度において「プレアボイド事例の報告・収集に関する取組の有無」が公表されている場合は、その掲載内容の写し(平成30年12月末までに薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業への本登録が行えない場合は「プレアボイド事例の報告・収集に関する取組の有無」が「無」と掲載されていても差し支えない。ただし、この場合、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」の変更の報告を随時行うことが可能な体制を都道府県が整備しているのであれば、機構に事例報告を行った後、変更の報告を行うこと)
疑義解釈資料の送付について(その10)│ 厚生労働省
薬局ヒヤリハット事業への参加申請は、本登録完了までには3~4ヶ月かかるようで(?)、すでに仮登録しているにも関わらず本登録が完了していないために事例報告が出来ない薬局に対して、厚労省が配慮した形になりました。(なぜそんなに時間が掛かるのかはよく分かりませんが。。。)
異例の対応に個人的にはかなりビックリしましたが、これで救われた薬局も少なくなかったようですね。
提出する届出書・添付資料
様式・添付資料 | 提出するもの | |
---|---|---|
① | 別添2 特掲診療料の施設基準に係る届出書 | PDF Word |
② | 様式87の3 | PDF Word |
③ | 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業への参加登録の申請が平成30年12月末までに行われたことがわかる資料 | 機構からの「仮登録のお知らせ」の電子メールの写し等 |
④ | 平成31年3月末までにプレアボイド事例を機構に報告したことがわかる資料(昨年1年間の事例) | 薬局ヒヤリ・ハット事例収集システムにログイン後のトップメニューにある「事例管理」の検索結果の写し等 |
⑤ | プレアボイド事例の取組実績があることを確認できる資料(昨年1年間の事例) | 平成31年3月末までに機構に報告したプレアボイド事例の内容の写し等 |
⑥ | 薬局機能情報提供制度における「プレアボイド事例の報告・収集に関する取組の有無」について、当該保険薬局に係る掲載内容の写し | 薬局機能情報サイトの該当ページを印刷 |
届出書の記入例
ここがポイント!
- 関東信越厚生局の場合、②の「様式87の3」は項目19への記入のみでOK!
- ③は平成30年12月末までにヒヤリハット事業の本登録が完了できなかった場合に提出
- パターンAの薬局は、③④は不要
- ⑤の報告事例は、薬局内で起きた調剤ミス等の事例はNG あくまで「疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例」を報告すること
- 提出は各1通(クリップ止めで)
参考 平成30年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準の取扱いについて │ 関東信越厚生局
その他の厚生局につきましては各自ご確認くださいますよう、お願い申し上げます
提出・お問い合わせ先
管轄の厚生局まで、郵送もしくは窓口まで持参してください。
要件を満たさない場合
残念ながら、平成31年4月1日以降は「地域支援体制加算」の算定ができませんので、平成31年3月末までに「施設基準に係る辞退届」を提出してください。
施設基準に係る辞退届については以下の記事で詳しくご紹介しています。
また、薬局機能情報の詳細につきましては、こちらのページも参考にしていただければと思います。
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この記事を書いた人
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メディカルサーブ株式会社 代表取締役
システムコンサルタント、インストラクター、エンジニア、デザイナー、講師など、いくつもの肩書を兼任。いわゆるプレイングマネジャー。
趣味はマラソン。マラソン歴10年目にしてサブスリーを達成。フルマラソン自己ベストは2:57:40(第8回水戸黄門漫遊マラソン:2023/10/29)
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