半音下がって聴こえるという副作用

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先日、Twitterにこんなツイートが流れてきました。

鎮咳剤である「フラベリック錠20mg」の副作用で、すべての音が半音下がって聴こえてしまうという症状に悩まされて辛かったとのこと。

この、世にも不思議な副作用はあっという間に拡散され、RT4万超えのバズとなりました。

正直、私もこのような副作用があることは知らなかったので、くわしく調べてみることにしました!

 

 

フラベリック錠20mgとは

フラベリック錠20mg(一般名:ベンプロペリンリン酸塩)とは、非麻薬性の鎮咳剤(いわゆる咳止め)として、一般的に広く処方されている医療用医薬品です。

昨年、厚生労働省から公表された第一回NDBオープンデータを見てみると、鎮咳剤では30品目中8位と結構使われていることが分かりますね。

1970年承認の古い薬で、リンコデなどと違って非麻薬性ですから、Dr.としても使いやすい薬の一つなのかもしれません。

ちなみに、薬価は最低薬価の5.6円で、ジェネリックはありません。

第一回NDBオープンデータより( 内服 外来(院外)性年齢別薬効分類別数量)│ 厚生労働省

 

では早速、添付文書を見てみましょう!

 

 

フラベリック錠20mgの添付文書

添付文書の副作用の欄を見てみると、「その他の副作用」として以下の記載があります。

【使用上の注意】
1.副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度については再評価時における文献を参考に集計した。総症例986例中、主な副作用は口内乾燥(3.14%)、眠気(1.32%)、腹痛(1.22%)等であった。
次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。

種類  頻度 0.1%~5%未満 頻度不明(※1)
精神・神経系 眠気、めまい  
消化器 口内乾燥、腹痛、食欲不振、胸やけ  
過敏症(※2) 発疹  
その他 倦怠感 聴覚異常(音感の変化等)
※1:自発報告のため頻度不明。
※2:発現した場合には投与を中止すること。
──フラベリック錠20mg添付文書より(PMDA 独立行政法人医薬品医療機器総合機構

聴覚異常(音感の変化等)」と記載がありますが、これでは少しあいまいですね。。。

しかも「頻度不明」となっていますが、調べてみると比較的若い方に結構な頻度で発症している印象を受けます。

承認前の治験ではこの副作用は報告されておらず、事後報告により2006年7月に改訂されたようなので、実際はちゃんとした調査はされていないということのようですね。

医薬品安全対策情報(DSU)No.151PMDA 独立行政法人医薬品医療機器総合機構

 

 

他の薬で同様の副作用は?

聴覚異常の副作用をもつ医薬品は以下のとおりです。

一般名:カルバマゼピン
  • テグレトール錠100mg/テグレトール錠200mg/テグレトール細粒50%
  • カルバマゼピン錠100mg「アメル」/カルバマゼピン錠200mg「アメル」/カルバマゼピン細粒50%「アメル」
  • カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」/カルバマゼピン錠200mg「フジナガ」/カルバマゼピン細粒50%「フジナガ」
一般名:プロカテロール塩酸塩水和物
  • メプチンエアー10μg吸入100回
  • メプチンキッドエアー5μg吸入100回
  • メプチンスイングヘラー10μg吸入100回
  • メプチン吸入液0.01%/メプチン吸入液ユニット0.3mL/メプチン吸入液ユニット0.5mL
一般名:ビンデシン硫酸塩
  • 注射用フィルデシン1mg/注射用フィルデシン3mg
PMDA 独立行政法人医薬品医療機器総合機構

 

 

報告されている症例

メーカー等に報告されている主な症例は以下のとおりです。

  • ピアノなど楽器の音がすべて半音低く聴こえる
  • 周囲の音がすべて低く聴こえる

 

Twitterなどインターネット上で見られる症状は以下のとおりです。

  • チャイムの音、炊飯器や電子レンジの音、音楽・テレビの音、電子音・機械音などが半音低く聴こえる
  • 自分の声に変化はなし
  • すべての音がきっちり半音低くなるのではなく、不協和音になる
  • 服用を中止すれば、徐々に症状が治まっていく
  • 回復までの期間は、数日~2、3週間程度(個人差あり)

 

 

副作用が出てしまったら

とりあえず処方元の病院・クリニックもしくは薬局へ行き、Dr.か薬剤師さんに相談してください。

薬の変更を希望すれば、違う薬を処方してもらえると思います。

また、再発防止のために、お薬手帳に書いておくとよいでしょう。

 

 

医師、薬剤師の皆さんへの周知

何人かの薬剤師さんに聞いてみましたが、知っている方はあまり多くないというのが現状のようです。

おそらく、過去に関わった患者さんの中にこの副作用が出た経験のあるDr.や薬剤師さん以外は、一般的に知られていないのかもしれません。

音の聞こえ方には個人差があり、また年齢によっても違いますので、残念ながらDr.に言っても信じてもらえないケースもあるようです。

また、もしDr.や薬剤師さんがこの副作用を知っていたとしても、

  • 頻度が不明で起こるかどうか分からない副作用であること
  • 健康被害が出るわけではない
  • 不安を煽ることになってしまう

などの理由から、あえて事前に説明する方は多くないように思います。

ただ、音楽関係の仕事に就いている方はもちろんですが、知らないと困る方が多くいらっしゃるということも事実です。もし仮に、大きな仕事を進めている時や、音楽大学等の試験、バンドのオーディションなど、その後の人生を大きく左右するような大切な時にもしこの薬を飲んでしまったらと思うと、他人事ではいられません。

また私もそうですが、絶対音感を持っている人にとってみれば、この半音下がって聴こえることはとても不快に感じられ、日常生活を送ることにも支障が出てくるおそれがあります。

これを機にDr.や薬剤師の方々にこの副作用のことを知っていただき、事前説明が必要な患者さんが一定数いるんだという事実をご理解の上、十分な説明をしていただけることを切に願います。

 

 

番外編

弊社取扱の調剤システム「エリシア2」でフラベリック錠の薬剤情報をカスタマイズしてみました!

注意事項の欄に「◆音が半音ほど低く聞こえる聴覚異常が現れることがあります。」との文言を追加。

そして、60歳未満の方だけに出力するように設定してみました!

(※文書は薬局様ごとに自由なカスタマイズが可能です。画面はあくまで弊社デモ機での印刷例です。)

 

 

※医薬品の副作用には個人差がありますので、すべての方に当てはまるものではありません。あらかじめご了承ください。
※当サイトに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
※当サイトの情報に起因するいかなる損害についても、当社及び情報提供元は一切責任を負いません。利用者ご自身の判断と責任においてご利用ください。

この記事を書いた人

Hiroshi.K
Hiroshi.K
メディカルサーブ株式会社 取締役

システム営業、インストラクター、フィールドエンジニア、SE、デザイナー、講師など、いくつもの肩書を兼任。
趣味はマラソン。サブスリーを目指す市民ランナー。フルマラソン自己ベストは3:07:17(つくばマラソン:2016/11/20)
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